【日記】『キャビン』がクリーンヒット

ヒロインがちょっとウィノナ・ライダーに似ているからと、仕事から帰ってきてつい見始めた映画『キャビン』が久々のヒットでした。 わあ。ホームランだい。


先日見た(そしてビンタした)『フッテージ』同様、怪しいオカルト系の話なのですが、こっちは……


超あり。


序盤で”魔術”の世界であることを明かしてるから、全然あり。演出が上手で、途中から何もかも投げ出して見入りました。


 小さな山小屋の入り口は、世界の破滅につながっていた。
 
夏休みに山奥へとバカンスに出かけた大学生5人。 
古ぼけた山小屋の地下で見つけた謎の日記を読んだとき、
何者かが目覚め、一人、また一人と殺されていく。 

しかしその裏には、彼らが「定番のシナリオ通り」死んでいくよう、 
全てをコントロールしている謎の組織があった。 
その組織の目的は?若者たちの運命は? 
その先には、世界を揺るがす秘密が隠されていた。
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「組織」と文字で見るとうさんくさいのですが、“古の怪物”を山のように管理している国家的なチームで、オフィスもまるでNASAみたいに大画面をみんなで見る系なのです。とても科学的、現実的なムードがクール。


カイジみたいに金持ちの悪趣味な道楽のために若者にデスゲームをさせているわけではなく、怪物に生贄を差し出すことで地球を守ろうとする世界的なプロジェクトということで、仕掛人側も憎めない描かれ方をしています。


おびきよせられた若者6人、地下の部屋で古道具があるのを見つけるのもナイスアイデア。ここで彼らが手にしたアイテムによって、どの怪物が目覚めるかが決まるのです。すなわち、どの怪物に殺されるのかを自分で選ばされるという仕掛け。


ヒロインがたまたま手に取ったのは古い本。「読むな」と言われたラテン語を読み上げたとき、 ボコボコボコっと土の中から刃物を握ったゾンビの一家が復活し、オフィスで高みの見物を決め込んでいる二人の仕掛け人はこんな言葉を交わします。
(どの怪物が復活するかという賭けに負けた相棒に)「惜しかったな」 
「ほら貝を持ってたのに!」
「ほら貝を吹いてれば半魚人で決まりだった」
「二度と半魚人には賭けるもんか。悔しい」
「はずれてよかったよ。後始末が大変だろう。半魚人は散らかすからな」

(のちにこのセリフも、伏線としてきっちり回収されるのです)


残酷なシーンも多いけれど、ひとつひとつのシナリオの画がユーモラス。

彼氏「大丈夫、誰も見てないよ……。な?」
 ↓
月への着陸を見るかのように、
大画面の前で成り行きを見守る大人たち。


演出としてすごかったのは、ヒロインがゾンビに見つかったところ。


彼女はもうダメだってシーンが大画面に映る中、 アポロ13が奇跡的に地球に帰還したかのようなハッピーな音楽がかかって、NASA的なオフィスでスタッフがお互いの健闘を讃え合うのです。
え、え、これ、何見てるんだっけ?  いや、わかってる、でも…って頭では理解できてるんだけど情緒が拒否する感じ。錯覚。混乱。

以前、まどかマギカを見た時もこの感覚に陥いったのをよく覚えています。どこかで見たことがあるものを、真逆の内容と組み合わせる。そうすることで、こんなにも見る人の頭と心ををかき乱す。 「ありがち」は使い方次第なんだなぁって。


ヒロインたちが透明なエレベーターの中に逃げ込んで、 地下に管理されている怪物の間を通っていくシーンも圧巻。 そして、大団円へ。


めっちゃくちゃ怖い。 

地獄より地獄。


個人的にはバレリーナ怖すぎ。たおやかなだけに。本当に肝が冷えました。 これにちょっと似てるかな?↓ 

SCP財団の、深刻な収容違反(これはネコです)。 ネコです。これはネコです。


最後まで夢中で見ました。 

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矢口あやは | 仕事まとめ ライター・編集・イラストレーター 編集プロダクションでの編集業務を経て、2013年にライターとして独立。雑誌・WEB・オウンドメディア・書籍などの制作を中心に活動。旅や歴史、カルチャーなど、人や土地の物語を丁寧に伝える記事づくりを得意としています。 お仕事のご依頼はこちらからお願いいたします→ yaguchi.a■gmail.com(■=@)