【日記】映画『フッテージ』をペチーン(張り手)



最悪の犯罪がビデオに収められているという出だし。

最初はとってもとっても期待がもてるのです。


ベストセラーを出そうと必死になっている小説家が、

凄惨な事件の起きた家に引っ越してきた。 

その屋根裏で、5つのフッテージ(未編集)フィルムを見つけ、

再生してみると、そこにはそれぞれの一家殺人の模様が収められていた…。 


というあらすじなのですが、このフィルムがくせもので。

ホラーに慣れきっている私でさえ
食欲を失うほど悪意に満ちたビデオなのです。

犯人が見えそうで見えない、肝心のところで途切れるフィルム。 

警察も仲間にひき入れて、謎を追い始める小説家。 


おお。これは、アタリなのでは?



以下、ネタバレ。



なんとなく見て1時間、映画はどんどん香ばしい展開に。

うっすらと漂いはじめた「犯人=ニンゲンじゃない」説。  


だめだよ。それだけは。 

やっちゃだめなやつだよ……わかってるね? 

もしそうだったら、たたくよ。 

ぶったたくからね。張り手で行くよ。


 つってる間に、あれよあれよとフィルムから出てくるアレ。

そしてフィルムの中に戻っていくアレ。 


ここまできてオカルトかーい。


犯人、ニンゲンじゃないんかーい。 

そのメイク濃いオッサン誰なんじゃーい。


でも、ものすごい秀逸だと思った展開がひとつだけ。


最後のタネあかしのシーン。

これがやりたくて撮られた映画だったんじゃないかと思うほど。


小説家「何か問題でも?」
警察 「問題は引っ越したことです!」
小説家「それの何が悪いんだ」
警察 「今回、あなたの依頼で集めた資料を整理して、まとめてみたら、
    一連の事件に明らかな関連性が見つかったんです」
小説家「どんな関連性だ?」
警察 「殺された家族はみんな、一つ前の殺人事件が起きた家に住んでいました。
    あなたは最後に事件のあった家からそちらへ引っ越したことで、 
    事件の連鎖に加わってしまったんです! 」


逃げるために引っ越したことが、 

逆に巻き込まれる決定打になってしまったという展開はアツい。イケてる。


さらに、未完だった殺人フィルムの結末部分が出てきて、 

つなぎ合わせると、それぞれの殺人の真犯人が映っていて……。 


という、「未完」だったものが「完成」したとたん

驚愕の事実がたちあらわれる……

という流れもめちゃめちゃイケてました。


でも別の意味で驚愕しちゃってるから、もう驚けない。


かつての名声を取り戻したくて苦しむ芸術家と、

普通の安定が欲しいだけの妻の感情的なケンカも

現実的でリアルだったからこそ、

オカルトがいよいよ浮いちゃって。


ジョニー・デップの『ナインスゲート』もやばかったけれど

あれはもともと魔術の書がテーマだったし、

『SPEC』みたいに、
最初から主人公が能力者であってくれたら

この「おーい」感、多少は薄まったのでしょうか。 


とりあえず……


 ペチーン!!(ビンタ)

Portfolio of Ayaha Yaguchi

矢口あやは | 仕事まとめ ライター・編集・イラストレーター 編集プロダクションでの編集業務を経て、2013年にライターとして独立。雑誌・WEB・オウンドメディア・書籍などの制作を中心に活動。旅や歴史、カルチャーなど、人や土地の物語を丁寧に伝える記事づくりを得意としています。 お仕事のご依頼はこちらからお願いいたします→ yaguchi.a■gmail.com(■=@)