宝塚を見ずして死んじゃいかーん!


まいど宝塚歌劇団、いつもセンパイに抽選でとれたチケットを回していただけるという恩恵に浴しています。そんな状態なので、いまだにチケットをどうやって買うのかわからないレベルなのですが、それでも「とれたよー!」って聞いたら、1万円を捧げながら毎回「買ったぁ!!!」って叫ぶくらいおもしろいのです。 

何が最高か? それは観客がスーパー前のめりなところ。

こないだ見た「壬生義士伝」では、みんなが嗚咽をこらえ、鼻をすする音が劇場中に満ちていき、最終的に舞台と溶け合い、信じられないほど荘厳な気配の中、見えざる教会がスッと建った、そんな瞬間がありました。


劇団四季やシルク・ド・ソレイユも大好きだけど!
みんなそろって熱狂の渦を生み出していくこの感じ、ちょっと一味ちがうかも…!


まさしく宝塚ならでは、という充実感が確かにあります。熱心なファンとはいえない私でさえもこのありさまだから、ファンになったらもうたまらないはず。(画像は公式サイトから拝借↓)


ちなみに宝塚の舞台は、第1部で歌劇、第2部でショーという構成になっていて、ショーはショーでこれまたすごくエキサイティング。


黒い燕尾服でビシッとキメたイケメンたちのマスゲームは純粋にかっこいいし、国や時代を超えていろんなテイストの音楽をやってくれるから「うーん自分は太鼓のリズムに燃えるんだなぁ」とか「タンゴはやっぱり情熱的でたぎるなぁ」なんて自分の好みに出会えます。

帰り道にそのジャンルを買い漁り、新たな扉を開いていけたり。


(最後にひなだんを順に降りてくるスターたちのしょってる羽のデカさがどんどん大きくなるところもステキ。今日もデカかったなー!)


そんな宝塚なので、絶対に見たほうがいいのは間違いありません。ほんとうに唯一無二。
お客さんは圧倒的に女性ですが、いつも男性のお姿もちらほらと……お目が高い。


性別をとわず、一生に一度くらいは絶対味わって死にたい系のコンテンツです。


前置きが長くなりましたが、今回見てきたのは、星組『眩耀(げんよう)の谷 ~舞い降りた新星~』。あらすじをざっくりいうと、

流浪の少数民族 vs 勢力を拡大する周の国

です。
秦国が舞台の『キングダム』よりさらに古い時代。周の国が、流浪の民・ブン族の隠しもつ金塊と秘薬を狙って挙兵するっぽいけどどうしよう? …という話。


その壮大なストーリーを劇場でやるってところもちょっとすごくないですか。

劇団四季のライオン・キングも広大なサバンナを箱の中に再現しててすごいけど、こっちはこっちでフランス革命とか頻繁に起きてる箱なんですよ。

ドンパチやらせたら宝塚に並ぶものなし。

今回も小さな谷に隠された金塊をめぐって、周国が戦を起こそうとしていて、かたや周軍は鎧でピカピカ、かたやブン族は布とちょっとした弓くらいの手持ちで戦争突入はやばすぎる…と手に汗をにぎりますが、そこはうまくうまく伏線を回収して「いのちだいじに」作戦を展開。ハッピーエンドでにっこり。


もとは周の役人で、天真爛漫で平和だった主人公が、世界を広げるとともに暗いものや汚いものを直視して、やがてブン族側に立って戦い始めるところがとにかく熱い。

善と悪、光と闇、人助けと人殺し。

相反するふたつのものを行き来し始めた途端、主人公がどんどん魅力的になるところが一つの見所です。

ついでに、個人的にツボだったのは衣装! 

懐かしの名作『ふしぎ遊戯』感があって、寒い地方らしくがっつり重ね着してる感じがとてもかわいいのでした。 余談ですが、いかにも精進潔斎した純白の衣装をお召しの術師が実は黒幕、めっちゃ邪悪というギャップも好きでした。うまーい。


みる、べき!!!

矢口あやは | 仕事まとめ

AYAHA YAGUCHI ライター・編集・イラストレーター 大阪府生まれ。 雑誌・WEB・書籍を中心に活動。2014年に狩猟免許を取得。 2019年からヨット専門誌『Kazi』(舵社)で連載がスタート。 twitter▶︎@saku_onono Facecbook▶️https://www.facebook.com/ayaha.yaguchi/ mail▶yaguchi.a@gmail.com